At the end of the day

「私たちが人生に意味を問う前に、人生が私たちに意味を問いかけている」

ヴィクトール・エミール・フランクル

谷川俊太郎さんが亡くなった。

世界が詩人を失うこと——それは、炭鉱のカナリアを失うことに近い。

詩人は、私たちがまだ感じ取ることのできない世界を、見て、聴き、感じ、 それらを独自の言語で表現して差し出す。

詩人は、言葉を通して既存の価値観を揺さぶる存在であり、 その在り方はわかりやすい形で測ることはできない。

詩人は、取るに足らないと思われていたものに、美しさを見出しわたしたちに世界の在り方を気づかせてくれる。

＊

歩く速度を少し緩めること。

野菜から季節の訪れを感じること。

なんとなく夕暮れを眺めること

鼻歌をうたうこと。

耳を澄ますこと。

あるいは行き過ぎた何かを止めること。

＊

詩人の助けなしにわたしはこれらの列挙したことをできるのだろうか。

谷川俊太郎の「朝のリレー」という詩は、今でも折に触れて読み返す。異なる背景を持つ他者への想像力を、地球規模のスケールで描いたこの詩はとても優しく、そして美しい。